効果背景解説・効果背景集-2

前回の解説から約2年と可成り間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
今回は漫画を描く人なら必ず使う”集中線”をメインに色々と紹介していこうかなと思います。
尤も、私なんぞが今更紹介しなくてもご存じの人が殆どでしょうけれど、集中線の種類によって表現や雰囲気が結構変わる事が伝わればと思い、このページを作りました。

仕切線
【まばら】
まばら
集中線の基本形。線の太さは作家の好みや画風によって違いますが、私はこのくらいの細さを基本にしてます。
ただ、デジタル化にする処理の関係で若干線が太くなってます(原稿に書いたのはもっと細いです)。
”線の数=動きの早さ”が一応集中線表現の基本ですので、集中線の数を増やしたり減らしたりして速度調節を研究してみて下さい。
因みに、効果の名前”まばら”とは、線の間隔が疎らなのでそう付けられた様です。

----- 使用例 -----

まばら・例
最早説明する必要など無いと思いますが、動きを表す集中線と言えば大抵コレですね。
今回この絵を基本に集中線の種類によってどの様に雰囲気が変わるかを見せて行きたいと思います。

仕切線

【ランダム】   【ネガランダム】
ランダム   ネガランダム
線の太さがランダムなのでこの名前が付けられた様です。
色々な太さの線を”白:黒=5:5”のバランスで疎らに描きます。太い線の横に細い線を配置するのがコツです。
  ”ランダム”の発展系。
描き方は”ランダム”と同じですけど、色々な太さの線を”白:黒=3:7”のバランスで疎らに描きます。ベタが多くなるのでベタフラに近い表現になりますが、集中線らしさを出す為に線を束ねて黒く太い線を作るのがコツです。
----- 使用例 -----

ランダム・例

  ----- 使用例 -----

ネガランダム・例

キャラが白っぽかったり画面を締めたい時に使うと効果的でしょうか。
また、キャラのベタが多くてもギリギリ使えると思います。
サンプルを観て貰うと判りますが、キャラと線が当たるところは抜きにするとキャラ線との差別化が出来て観易くなります。
  これもキャラが白っぽい時に使う事が多いのですが、夜などの暗い場面の中を走る時にも使う事があります。
”ランダム”に比べて画面全体が少し暗く感じるのが判るでしょうか?

仕切線
【ニードル】
ニードル
太い線が針の様に見える事からこの名前が付けられた様です。
”まばら”に近い表現なのですが、”まばら”が継続的な動きなのに比べて”ニードル”は瞬間的な動きを表す時に使う事が多いように思います。
ちょっと判り辛いですが、3種類くらいの太さの線で描くのがコツです。

----- 使用例 -----

ニードル・例
いきなり走って来た、若しくはスタート直後の走り初めと云う雰囲気が感じられますでしょうか。

仕切線
【ニードル&まばら】
ニードル&まばら
ご覧になって判る通り、”ニードル”に”まばら”を足してるので、この名前が付けられた様です(^^;)。
表現的には”まばら”のニュアンスが強いですね。しかし、”ニードル”が補助的に加わる事で、加速や動きに力強さと言った印象が追加された様に感じます。
先に”ニードル”を描いてから”まばら”を描くと上手く描けます。

----- 使用例 -----

ニードル&まばら・例
観る人によって感じ方が違うかもしれませんが、走っている途中で加速or少し力強く走っている雰囲気を感じられるでしょうか?

仕切線
【均一気味まばら】
均一気味まばら
線の間隔を均一にしつつ”まばら”を描く事からこの名前が付けられた様です。
動きよりも注目させる印象が強いかしら。
描くのにちょっと慣れが必要なのですが、コツさえ掴めば簡単です。

----- 使用例 -----

均一気味まばら・例
表現の性質上固い雰囲気になりますね。やっぱり科白を叫んでいるシーンとかで使うとシックリ来るかも。
ちょっと例が適切でなかったかもしれませんが、他の例との兼ね合いで敢えて合わせました(^^;)。

仕切線
【均一まばら】
均一まばら
”まばら”じゃないので均一集中線が正しいのかもしれませんが、師匠の仕事場ではこう云われていたので名称をそのまま使います。
観ての通り線の間隔が全部均一な集中線です。”均一気味”より画面がもっと固く感じますね。
初心者は抜きも均一にしがちなので、そこを注意しながら抜きを凸凹にするのが上手く描くコツです。

----- 使用例 -----

均一まばら・例
これも動きより画面に集中させたり、キャラが科白を言っているor叫んでいるシーンに使うと良いかも。
例が少し不適切で済みません。

仕切線
【2カケ/曲2カケ】
2カケ/曲2カケ
画面向かって左が”2カケ”、右が”曲2カケ”です。
”曲2カケ”は雲形定規を使って作画してます。
感情を表す集中線に近いと云うべきか、少々説明し難いのですが、”キレた人がガバッと起きあがる”とか感情表現を伴いつつ動きのあるシーンで使う事が多い気がします。
均一まばらを描いたあと、その均一まばらの長さより長くならないよう中心点をズラしつつ線を掛け合わせて描いていきます。
因みに、初心者の頃の私はこれがどーにも苦手で、習得するのに数ヶ月掛かりました。

----- 使用例 -----

2カケ・例
嵐の中を、若しくは不安を抱えながら走っている…って雰囲気でしょうか。ホワイトを飛ばして”雨の中を走っている”という応用も出来るかと。

仕切線
【ベタフラ】
ベタフラ
所謂”ベタフラッシュ”ですね。
今更説明が要らないくらいメジャーな表現ですが、最後の締めに紹介してみました。
星の爆発、青空の太陽、暗闇に刺す明かり等々、背景にも使える汎用性の高い表現ですね。

----- 使用例 -----

ベタフラ・例
「何かに気が付いた」とか「感情の変化」の時にも使えるので、その例にと作画してみました。

仕切線
− あとがき −

如何だったでしょうか。集中線にも結構種類があったり同じ絵でも雰囲気が変わるのが伝わりました?
【2カケ】や【均一気味・均一まばら】や【ベタフラ】などの使い方については他にも在ると思いますので、自分で試したりして研究してみて下さいませね。
あと、【2カケ/曲2カケ】は文章で説明しただけではちょっと描くのが難しいかもしれず。説明が上手くなくて済みません。自分なりに勉強してみてどうしても上手く行かない場合はお気軽に聞いて下さいませ。
また時間が作れましたら、次回はちょっと変わった効果を紹介してみようと思います。

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